理事長挨拶

理事長挨拶

日本催眠学会理事長
木村 真人

Mahito Kimura

この度、日本催眠学会の理事会にて理事長を拝命いたしました。大変光栄であるとともに、 重責に身の引き締まる思いですが、伝統ある日本催眠学会のさらなる発展のために微力を尽くしたいと存じますので、皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

私自身は、一精神科医で、実際の臨床の場で催眠療法などを行っているわけではありませんが、日本催眠学会との関わりとしては、第3回の学術大会から参加し、恩師である故遠藤俊吉先生が3代目の理事長在任中は、当学会の事務局を長年担当させて頂きました。

その間、脳波や事象関連電位を用いて、催眠現象の生理学的検討を行ったり、当学会で行っていた催眠技法研修会にも参加させて頂きました。

私が事務局を担当していた時期は、学会員も増加して学会そのものも比較的順調に発展していましたが、途中倫理的な問題で大きな困難に直面し、学会員の減少に苦しんだ時期もありました。

その後、当学会は倫理面が強化され、4代目理事長の古賀良彦先生の時代には、学会のあり方委員会での協議を経て、大胆な組織改革などが実施されました。

また、前理事長の中島 亨先生の時代には、催眠を実際に行っている会員数の増加と役員の刷新が行われ、先日の役員会では、2年先の学術大会まで予定が組めるようになりました。現在当学会は、大きな変革期を迎えており、今後ますます学会の発展充実を図らなければならないと実感している次第です。

催眠は、社会生活上のさまざまな状況や医療的な面でも幅広く活用され、世界的には非常に高い関心と評価を受けていますが、わが国における認識はいまだ十分とは言えません。また、催眠は、クライエントが意識していないような内面的なプライバシーも暴露されることもあり倫理的にも細心の注意が必要になります。

私の専門である精神医学の領域も近年脳科学のめざましい進歩があり、人間の感情や意識においても脳活動の変化が解明されてきていますが、診療場面では従来から提唱されているBio-Psycho-Social(生物-心理-社会)的な統合的・全人的な医療が常に求められます。

本学会は催眠やそれに関連する諸科学について、実証的な検証を進めるとともに、それぞれの適応や限界も探究していく責務があり、そのためには会員諸氏のたゆまぬ研鑽と、会員相互の協力が不可欠のように思います。

本学会の変革期に理事長に就任するに当たり、事務局体制の一層の改革と学術大会や学会誌のさらなる充実、発展を目指したいと考えておりますので、皆様のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

2018年11月吉日