日本催眠学会倫理規定

第1章 総則

第1条 （目的）

本規定は、日本催眠学会（以下「本学会」）における人を対象とする生命科学・医学系研究について、倫理的な実施を促進し、学会員が研究や臨床を実践する際の倫理的な指針を提供することを目的とする。

第2条 （適用範囲）

本規定は、本学会の会員および本学会が主催または共催する研究・実践活動に従事する全ての者に適用される。研究に関する倫理審査は、本来、研究者が所属する機関の倫理委員会等で実施されるべきであり、会員が所属する機関に倫理委員会が設置されていない等、やむを得ない理由で倫理審査を受けることができない場合において、本委員会の審査対象とする。

第2章 倫理委員会の設置

第3条 （設置）

本学会に倫理委員会（以下「委員会」）を設置する。

第4条 （構成）

1. 委員会は、委員長、副委員長および複数の委員で構成される。
2. 委員は、学識経験者、臨床専門家などの専門分野から理事長が指名し、理事会の承認を得て任命される。
3. 委員の任期は3年とし、再任を妨げない。

第5条（審査の基本原則）

1. 人権の尊重：被験者の尊厳と人権を最優先に保護すること。
2. 科学的および倫理的適正：研究および療法は科学的に適正であり、倫理的に許容されるものであること。
3. インフォームドコンセト：被験者から自由意思に基づくインフォームドコンセントを取得すること。
4. プライバシーの保護：被験者のプライバシーを尊重し、個人情報を適切に管理すること。
5. 利益とリスクの評価：研究および療法の利益がリスクを上回ることを確認すること。
6. 透明性と誠実さ：研究および療法の手順や結果について透明性を保ち、誠実に報告すること。
7. 利益相反の回避：利益相反が発生し得る場合には、事前に委員会に報告し、その指導に従うものとする。

第3章 倫理審査の手続き

第6条 （審査の申請）

1. 研究者は、研究を開始する前に、本学会が定める研究計画審査申請書の書式に則って研究計画書を委員会に提出し、倫理審査を受けなければならない。
2. 委員会は、研究の倫理的妥当性を審査し、必要に応じて修正を求めることができる。
3. 委員会での審査が必要な場合は、書面審査や対面審査（オンラインでの開催は可）を行う。
4. 委員長が、侵害の程度が低く倫理的に問題の少ない研究と判断した審査あるいは研究計画の軽微な変更に関する審査の場合は、委員会を開催せず迅速審査を行うことができる。

第7条 （審査の判定）

1. 審査の判定は、委員の全員一致を原則とし、結果は「承認」、「不承認」、あるいは「条件付き承認」とする。
2. 委員長は、審議が終了したときは審議結果通知書をもって申請者に通知しなければならない。
3. 委員長が必要と認める場合は、委員会に委員以外の者の出席を求め、その意見を聞くことができる。

第4章 倫理違反の対応

第8条（倫理違反の報告）

1. 会員が倫理違反を発見した場合、速やかに委員会に報告しなければならない。
2. 委員会は、報告を受けた場合、速やかに調査を行い、その結果を基に適切な対応を講じる。

第9条（調査および対応）

1. 委員会は、倫理違反の疑いがある事案について、関係者からの聞き取りや関連資料の確認などを行い、事実関係を調査する。
2. 調査の結果、倫理違反が認められた場合、委員会は以下の措置を講じることができる：注意喚起、指導および再教育、会員資格の停止または除名、その他適切な措置、当該研究の中止勧告（命令）

第10条（異議申し立て）

1. 倫理違反の指摘を受けた会員は、委員会の決定に対して異議を申し立てることができる。
2. 異議申し立てがあった場合、委員会は再審査を行い、その結果を会員に通知する。

第5章 規定の改訂

第11条 （改訂手続）

本規定の改訂は、委員会の提案に基づき、理事会の承認を得て行うものとする。

付　則

この規定は、平成23年6月15日から施行する。
本規定の一部改正は、令和6年11月24日から施行する。

日本催眠学会は催眠とこれに関する諸科学の研究・発展を図り会員相互の情報交換をおこない社会に貢献することを目的としている。会員は以下の条項を遵守しなければならない。

第1条

本学会の会員は、個人の人権を尊重し、個々のプライバシーを侵害しないように最大限の努力をしなければならない。

第2条

本学会の会員は、自らの活動が道徳や法律などの社会的規範を逸脱することのないよう留意し、社会の信頼を損なわないよう努めなければならない。

第3条

本学会の会員は、自らの活動が社会に与える影響を十分に認識し、人々の幸福と福祉、社会への貢献を目指して、常に自己研鑽に努力する。

第4条

本学会の会員は、催眠等に関する専門的活動を行なう際は、対象者に対し十分にインフォームドコンセントを諮り、その活動で得た個人的情報について守秘する義務がある。情報は厳重に管理し、本来の目的以外に使用してはならない。学会発表、教育、講演、執筆等において被験者やクライアントおよび治療内容に関する事柄は本人の承諾を得た場合、または本人を特定できない手段を講じた場合のみ用いることができる。

第5条

本学会の会員は、原則として研究遂行にあたり研究の目的・内容を倫理委員会の審査を受け、承認されることが必要である。

第6条

本学会の会員は、研究成果の公表は、専門家による学問的検討のためのみに限定される。学会員としての立場を十分に自覚し、虚偽や誇張のないように十分配慮する。

第7条

本学会の会員は、催眠を研究および臨床の目的以外に利用してはならない。

第8条

本学会の会員は、研究において利益相反に留意し、必要に応じて情報を開示する。

第9条

本学会の会員が本倫理綱領に著しく違反する行為を行った場合には、日本催眠学会会則第27条が適用される。

本倫理綱領は、平成23年6月15日より施行する。